7月16日の朝、スモモの市成の葉が萎れているのを発見しました。
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この暑さですから水切れを起こしたのかと思いすぐに給水。
次の日の朝、確認してみると萎れは治っていませんでした。むしろ悪化しています。
虫が食い入ってそこから先だけが萎れているというわけではなく、
木全体が萎れています。
コガネムシに根を食害されたか、暑さで一線を越えてしまったか。
正確な原因はわからないのですが見た感じこの木はもうダメっぽいです。
市成はスモモの中でも特に期待している品種だったので非常に悲しい。
しかし落ち込んでいる暇はありません。
接ぎ木で市成の子孫を残せる可能性はまだあります。
本当は単純に挿し木でも良かったのですがなぜか失念していて今回は接ぎ木しかやりませんでした。
しかし接ぎ木も最近技術的に向上してきて成功率が上がっています。それを考えると接ぎ木によって市成の命をつなぐことができるかもしれません。

というわけで7月17日、まずは市成の枝を採取します。
ここで気づいたのですが、葉だけでなく枝の方も若干ですが萎れてきています。
考えてみれば当たり前なのですが、この状態で接ぎ木をやってもつかないのでは?と考えとりあえずコップに水を入れてそこに切った穂木を挿して半日待って夕方に作業を始めることにしました。
こうすれば枝が水を吸って元の状態に戻るのではないかと考えてのことです。
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そして夕方。予想が当たり、枝に張りが戻りました。よかった。

接ぎ木作業スタートです。
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ここからは私なりの接ぎ木のやり方です。
まずは適当な長さに切った穂木の上部の切り口に接ぎ木テープを引っ掛けて、そのまま下方向に巻いていきます。
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画像では上の部分が露出しているように見えますがちゃんとテープがかぶさっています。
次に穂木の下部を削ぎ落とします。
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できれば1回でスパッと削ぎ落とせると切り口が平らになって理想的です(私の場合まだ練度が足りず、たまにしか成功しません)。
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反対側は少し短めに削ぎ落とします。
横から見ると次の画像のようにくさび型になります。
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これで穂木の準備は完了です。切り口が乾燥しないようにコップや湯呑に水を張って挿しておきます。

次に台木の準備をします。
今回私が台木に選んだのは以前挿し木したミロバランスモモの苗です。
理由は、書籍などにミロバランスモモが台木として優れていて一般的に使われていると書いてあったのと、サイズ的にちょうど良かったからです。
根本から10cmくらいのところで剪定ばさみを使ってスパッと切り詰めます。
つまり今回やったのは「切り接ぎ」ということになります。
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切り出し小刀を使って、切り口の縁から2mmくらい内側(つまり縁ギリギリ)のところを真下に切り込みます。
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単体の画像がないのでわかりにくいですが、穂木を差し込んだ時このようになる感じです。

◆補足
今回私は台木と穂木をあわせるところを1.2cmくらいしか削ぎ落としていないのですがそれではテープで固定するときに不安定でやりにくいです。接ぎ木のやり方を紹介している他のウェブサイトや書籍を見るともっと長く削ぎ落としています。2cmくらいでしょうか?
台木の薄皮のようになっている部分は癒合させるだけでなくテープを巻く際の穂木の押さえとして働くと今回初めて気づきました。
形成層がたくさん出ていたほうが癒合する面積が広がるということもあるでしょうし、深く差し込めば押さえる力が強くなって安定してテープを巻くことができます。


最後に穂木を台木に差し込んで、台木の下からテープを巻き上げて固定すれば完成です。
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◆補足
今回はなんとなく穂木の真ん中にテープが巻かれていない状態ですが、本などを読む限り、一般的には全体を隙間なくテープで巻くようです。というか私も今まではそれでやってきて成功しています。今回の「腹出し」がもしまずいやり方でこれで失敗するかどうかも注視していきたいと思っています(どちらでも良いのかもしれませんが)。


◆最後に
なぜ市成は死んでしまったのか、コガネムシの幼虫による根の食害が原因だとしても、あまりに急です。根が少しづつ食べられるなら少しずつ水を吸い上げる能力が落ちて少しずつ萎れるのではないでしょうか。今後市成の株が復活することがなければ鉢から引き抜いてそのあたりを調べて見ようと思っています。

ちなみに私が使っているのは↓の切り出しナイフです。安いので入門用に良いかもしれません。切れ味については、枝が柔らかい植物(マンゴーとかビワ)なら余裕です。スモモなどの枝の硬めの植物は少し手間取るかもしれません(研ぎ方次第ですが)。ただこの切り出しナイフで今回の接ぎ木もちゃんとできたのでやりようによってはできないことはないです。特に台木への切込みですがあれは一気にやろうとすると危ないし、そもそも固くてできないので、左右を交互に押し込みながら徐々に切り込んでいくと良いと思います。それでも結構つくものです。他のものも私が接ぎ木でいつも使っているものです。参考にして下さい。

◆2018年9月14日追記
株元40cmくらいに切り詰めて様子を見ましたが結局新芽がでませんでした。
諦めて鉢から引き抜いて土を落としてみたところ、根は完全に黒くなっていて枯れていました。
しかしコガネムシの幼虫に根を食べられたわけでもないのでおそらく夏の暑さのせいで枯れたのだと思われます。
スモモはそんなに暑さに弱いわけではないので(少なくともラズベリーよりは強い)、他の元気なスモモと同じように管理していた市成だけ枯れたのは不思議です。
◆2021年4月29日追記
サンタローザに接ぎ木してある唯一残った市成ですが、どうも調子が良くないようです。枝が細いし、春になってもあまり葉が出てこない。なかなか気難しい品種のようです。


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